電車でのマナーと言えば、お年寄りや身体の不自由な人、妊婦さんや乳幼児を連れている人へ、優先座席を譲ることを思い浮かべる人が多いでしょう。
でも、その概念をかえる出来事がありました。
若い女性が大きなスポーツバックを抱えて、今にも倒れそうな顔をしてドアにもたれています。幸い満員電車ではありませんでしたが、席は埋まってしまっています。気の毒にと見ていたら、優先座席でもない普通の席に座っていた中年くらいの女性が「ここへどうぞ」と席を譲りました。若い女性はちょっとびっくりした顔をして、「いえ、大丈夫です」と一度断られましたが、それでも中年の女性は「いいんよ。」と、そのまま、譲ってしまいました。人によっては、よく言う常識を知らないおせっかいな「大阪のおばちゃん」の典型だ思われるかもしれない。でも、私は学生時代、必死で遠い学校へ通学していてしんどかったことを思い出し、その温かいおせっかいに感動しました。
スポーツをしてくたくたになったくらいで…若いのに…特に配慮される要素がないのに…
そんな声が聞こえそうで、いったんは断られたのでしょうが、それを察してか、あえて強く譲られた様子を見て、ああ、これがマナーの本来の姿だなと思いました。
世間の常識的なマナーは
「優先座席だから」「お年寄りだから」「妊婦だから」
席を譲る。
ですが、
大阪のおばちゃんは、
本当に座席を必要とする人がいたら、いつでもどこでも譲る。
それが、マナーです。
まわりの人の様子をよく見て、まわりの人が気持ちよく過ごせるようにすることが、大切だと気付かされた出来事でした。