- 『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし』
- 「ギフテッド」支援を文部省が検討
- 【平均・普通・標準】を子どもに求めすぎない
- 教科・学年を超えた学びの時代がやってくる
- 様々な得意・不得意を認め合える時代がくるかも?
『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし』
子供が小学校の図書室から借りてきた絵本~対象は中学年から
少し前、小3の子供が小学校の図書室から次のような本を借りてきました。
絵本なので小さい子も読めますが、対象は中学年から。
バーバラ・エシャム 文
マイク&カール・ゴードン 絵
品川裕香 訳対象年齢 > 小学校中学年
出版年月日 2013/07/01
判型・ページ数 A4変・32ページ
定価 1,760円(本体1,600円+税)
(算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし - 株式会社岩崎書店 このサイトは、子どもの本の岩崎書店のサイトです。より引用)
算数障害の子の話~興味を持ったのはなぜ?
算数障害の子の話です。
算数ならだれにもまけないと思っているマックス。ところが、トペル先生が計算問題をやるときに時間をきそわせるようになってから、算数ができなくなってしまいます。「どうして、ちゃんと家で勉強しているのに、テスト本番では頭も心もフリーズしてしまうんだ」とあせるマックス。ある日、マックスの両親は「算数のことで...」と学校からよびだされるのですが...。著名な数学者の多くが、じつは計算が苦手だったことをごぞんじですか?つまり、マックス同様、数の概念を理解する力と、九九を機械的に覚える力は必ずしもイコールではありません。目の前の計算問題でつまずいている多くの子どもたちにぴったりの一冊。本書はこのことを、ウィットに富んだ文と絵で、子どもや保護者に伝えてくれる作品です。
(算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし: 算数障害を知ってますか? - バーバラ・エシャム - Google ブックスより引用)
「この本を読んでどう思った?なぜこれを選んだの?」と質問してみましたが、ノーコメント。「計算ができないんだって~」という見当違いの返事だけで終わりました。
多くの本の中から選んできたのだから、それなりに思うところがあって借りてきたんだと思いますが、本人が聞かれるのが嫌そうだったのでそのままにしておきました。
この時はブログでこの本を紹介しようと思っていなかったので、写真を撮ることもしなかったのですが、次の「ギフテッド」支援の記事を見つけて、やっぱり理解が必要だと思い直し、ブログに書くことにしました。
「ギフテッド」支援を文部省が検討
『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし』を紹介しようと思ったきっかけとなった記事は、次の「ギフテッド」支援をの文部科学省が検討し始めたという内容のものです。
「ギフテッド」と呼ばれる突出した才能に恵まれた子どもの教育支援を、文部科学省が検討し始めた。記憶力や言語能力、数学力などに優れながら、学校での学習に困難を抱え不登校になるケースなども指摘されてきた。どんな才能をもつ子を、どう支援するか――。有識者会議を設けて議論し、2年かけて検討する。
(突出した記憶力や数学力もつ「ギフテッド」 支援を検討:朝日新聞デジタルより引用)
「ギフテッド」についてあまり知らなかったので、今回、ネット検索をして調べてみました。
いくつか見た中で、よくわかる内容だった次の記事の最初の方を引用しておきます。
飛び抜けた能力を持つ「ギフテッド」と呼ばれる天才たち。「天から才能を授かった人」という意味で、海外では広く知られています。アインシュタイン、ビル・ゲイツ、フェイスブックを創設したマーク・ザッカーバーグ。彼らも皆、ギフテッドといわれ、数々のイノベーションを起こしてきました。このギフテッド、実は日本にも250万人以上いると言われています。今回私たちは、その素顔に迫るためアンケートを実施。すると、意外な事実が明らかになりました。
“人間関係のストレスから体調を崩した。”
“「はみ出し者」的なレッテルを貼られてしまう。”
“ほぼ9年間不登校。”
ギフテッドの9割近くが、何らかの生きづらさを感じていたのです。
(知られざる天才 “ギフテッド”の素顔 - NHK クローズアップ現代+より引用)
気になる方は続きを次のサイトからご覧ください。
「ギフテッド」と呼ばれる人たちは、飛びぬけて能力の凹凸が激しく、平均と遠いので周囲と馴染みにくいんだと思います。
幸いうちの子は「天から才能を授かった人」ではなく、「小学校6年間皆勤」を狙えそうなくらい毎日元気に登校しています。前の記事にも書いたように、もうそんな時代ではないので、狙いませんが。
【平均・普通・標準】を子どもに求めすぎない
程度の差はあれ、誰にでも得意・不得意はある
「ギフテッド」ほどでなくても、誰でも多少、得意・不得意ありますよね。
でも、つい私たち保護者は、子供に「平均」や「普通」を求めて「年齢にあった教育」に固執してしまいますよね。
学校の授業も集団授業なので、クラスの平均・標準に合わせて授業がすすみます。そして、学年相当の基準に達するようにテストで能力をはかり、補習をしたりします。
全教科みんながオール5ではなく、成績が人によって違うのは、得意・不得意があるからですよね。
低学年の学習の基本にとらわれた時期があった
【漢字の書き取り】【百マス計算・計算ドリル】にこだわった
私も子供に「普通」を求め、年齢にあった教育が大事だと、低学年の学習の王道【漢字の書き取り】や【百マス計算】などにこだわっていた時期がありました。
計算のスピードを競うと良いという話を聞いては、子供とストップウォッチを使って単純な計算ドリルをより正確に早く解く競争をしたこともありました。
一般的に、子供は喜んで競争するそうなのですが…ノリノリなのは親の方だけ。
漢字の書き取りも「書かないと覚えられない」という昔の教育を受けてきた頭のまま、最初の頃は、しっかり書いて練習するように子供に求めていました。
子どもも絵本に共感する部分があったのでは
そういう時期があったので、『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし』を子供が学校の図書室からかりてきたのは、「計算問題をやるときに時間をきそわせるようになってから、算数ができなくなってしまった」という部分に共感したからではないかなと気になりました。
正確に早く解く訓練は必要ですが、たぶん、うちの子は計算のスピードをはかったり、競わせるのに向いていないタイプです。
嫌がることをさせるのはしんどいので続きませんでしたが、もう少し早く「時間を図って計算スピードを競う」に向いていないと気付き、方針を切り替えておけばよかったと思いました。
「普通」「年齢にあった教育」に固執しない
「計算ドリル」は学校の宿題くらいなので、やっぱり計算ミスが多いタイプになり、今でも時々、桁の大きい引き算のミスします。
普通は、完全にミスがなくできるようになってから、次の段階に進みますよね。基礎がしっかりしていないと進んでも無理だと。
私はその「普通」を無視して、好きなだけ次の段階の学習もさせることにしました。
そのため、だいたい算数も漢字も小6までは学習できていますが、たぶん、公文などの学習教室利用だったら先にすすめなかったし、そこでストップをかけていたら、算数や国語が嫌いになっていたと思います。
素早く正確に計算することも大事ですが、ドリルなどで計算を練習は難しいので、たまにフラッシュ暗算アプリでスピードアップを図っています。
漢字の書き取りも宿題は最低限としてさせますが(ものすごく時間がかかります)、家庭学習としてはさせませんでした。ノートにひたすら漢字を書いていくのって、私は写経的な感じで嫌いではなかったですが、子供はすごくイヤなようなので、漢字のゲームアプリや漢字検定対策本を利用して、子供に合わせた方法でよしということにしました。
よく利用したのは次のアプリです。
アプリの影響で「いちまる」好きになり、書き取り練習がほとんどない次の本を利用するようになりました。
この後は、分野別問題集を使って弱点部分だけポイント学習するパターンでおおまかに覚えることができました。
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教科・学年を超えた学びの時代がやってくる
中学受験塾の保護者向け説明動画より
うちの子はあちこちの中学受験塾の無料公開テストを受けていますが、その際に受けた人の特典として、保護者向けの講演会動画があったりします。
具体的な勉強法などについては記事にしましたが、
他にもたくさんあって、いくつか動画を視聴しました。
その中で、一番心に残っているのは「これからは教科・学年を超えた学びの時代がやってくる」ということ。先ほどの「ギフテッド」支援と通じるところがあります。
学年を超えた学習を推奨する公立小学校も
実際、もう公立小学校の時間割に「総合」という教科を超えた学習時間が出来ています。学校によっては公立小学校でも、学校をあげて漢字検定に取り組み、先の学年で習う漢字の習得に力を入れています。
子どもに合わせて、学年相当以上の学習も、学年相当以下の学習も自由にしてもいい。
そんな時代がもうそこまで来ているのかなと思います。
様々な得意・不得意を認め合える時代がくるかも?
学習面だけではなく、日常生活のことも
それは、学習だけでなく、音楽やスポーツであったり、日常生活上のことであってもいいと思いませんか。
幼稚園児なのに大人並みに自立した生活をしている子がいてもいいし、小学生でお箸の使い方が下手でもいい。
片付けが苦手でカバンの中からくしゃくしゃのプリントが出てきてもいいし、忘れ物が多かったり、ママに起こしてもらわないと朝起きれない子がいてもいい。
大人になってもまだ、お掃除・お料理や裁縫が苦手でもいい。
朝起きにくいのは「起立性障害」が原因であることもあるそうで、理解が広がってきているようですが、他にもまだ、わかっていない種類の障害があるかもしれませんよね。
今、教育界で流行っている、これからの時代に必要とされる「生きる力」「コミュニケーション能力」の分野だって、もともとその分野が得意な子もいれば、不得意な子もいます。
勉強は日常生活のことができてから?
息子は保育園・幼稚園の頃、周りより日常生活のこと(オムツがなかなかとれないとか、言葉の数とか、お箸の使い方とかいろいろ)のことが少し遅れていました。
でも、漢字を絵本で覚えたりするのは好きでした。
次の絵本がお気に入りで、名前を書いて外出先にも持ち歩いていました。
中身もかわいらしくわかりやすいのでおすすめです。
うちの子は日常生活の発達を同じ年齢の子たちと同じ程度に伸ばすのに10の労力が必要だったとしたら、学習面は3くらいの努力・労力で同学年の子たちより先にすすみます。
日常生活の発達はゆっくりでいいと割り切れば、同じ3くらいの労力で済みます。
だから、3(日常生活)+3(学習面)=6の労力を使う方を選びました。
無理して日常生活の発達面に8くらいの労力を使っても、まだ同年齢の子たちに追いつかないのですから。
「勉強は日常生活のことができてから」という考え方があり、夫も最初はその考え方でしたが、次第にわかってくれるようになりました。
「障害」とまでいかなくても、誰しも得意・不得意はあるものです。
保育園・幼稚園では標準以下で個人懇談時にかなりご指導いただいていましたが、
小学校へ入ると特にそう大きな問題はなく、先日の懇談でも「問題なく手がかからないタイプ」だと言われたそうです(夫が懇談に行きました)。給食を食べるのが遅い問題も解決したみたです!算数の学習がかなり先まで進んでいるのが授業でわかり、驚いたという話も聞きました。
小さな世界から大きな世界へ目を向けてみる
このように、うちの子は生活面では保育園や幼稚園では標準以下の状況でしたが、小学校へ入ると標準的なものとなりました。だから、今、小学校や中学校で標準でなく困っている方も、特に何か手を打たなくても、社会人になったら以外と大丈夫だったりするかもしれません。
また、高校時代にちょっと個性的なクラスメイトがいて、いじめが発生しそうになった時、社会人から教師に転職された担任の先生が、「こんな小さな世界だからそう思えるんだ。大学に行ったらもっと個性的な人がゴロゴロいるぞ」と諭されたことがありました。すごく納得したのを覚えています。
私たちがとらわれているのは、小さな世界の「普通」なんです。
世界を見ると、日本の標準にこだわるのがどうかと思う時があります。
子どもの育て方も、育てる環境も、学校教育も国によって様々です。
日本では何もかも上手くいかず職場も転々としたけれども、ある国に馴染み落ち着いた話を聞いたこともあります。
共生できる社会へ
子供が借りてきた絵本とギフテッド支援の記事を読んで、なんとなく、これからはみんなの得意・不得意をお互い認め合って、力を合わせて頑張れる時代がくるかもしれない、これからの時代に必要とされる「生きる力」「コミュニケーション能力」が不得意な人も、一部の社会の「普通」「標準」から外れている人も、勉強が苦手な人も、規則正しい生活が送れない人も、誰からも非難されることなく安心して共生できる社会ができるかもしれない、そうなって欲しいと思い、この記事を書きました。
今の子供たちが大人になる頃は、もっとみんなの心が満たされて、幸せな社会になっているといいですね。
長々とお付き合いくださり、ありがとうございました!
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