- 小学3年生~大人に
- 図書館向けの本から一般書籍化
- 心に響く!感動する!大人の癒しにも!
- 生活に関わるお金の基本が書いている
- 生活と仕事は密着している
- 将来就きたい仕事探しについて
- 働くことに対しての考え方・価値観
- 上手に生きるためのヒント
小学3年生~大人に
一時期話題になった池上彰さん監修の『僕たちはなぜ働くのか』を図書館でかりて、子供に渡しました。
息子も小3になったので、そろそろ理解できるかなと思ったからです。
ネット上で対象年齢を調べたら、10代、中高生向けとも書いていたので、ちょっと難しいかなと思いましたが…すぐに「僕の知らなかった世界があるぞ」という感じで飛びついて読み進め、しばらく何度も読み返していました。年齢によって理解の深さが違うと思いますが、導入部分は漫画ですし、言葉や内容はそれほど難しくありません。漢字にはふりがながついていますし、小3より小さなお子さんでも大丈夫だと思います。
内容は大人が読んでも読みごたえのあるものですし、年齢が上がった時に読むとまた違った見方もできるでしょうから、数年後にも読めるように手元においておきたい本のひとつとなりました。
図書館向けの本から一般書籍化
私が借りてきた本は先に発行された図書館向けの『僕たちはなぜ働くのか』(上・下)(2019年2月発売)です。図書館向けなので丈夫な作りで二冊に分かれています。その分、お値段もしっかりしています。
一般の書店で販売されている方は、お値段がお求めやすくなっています。図書館向けの本が評判になり、一般書籍化(2020年3月発売)されたといういきさつがあるようです。2冊が1冊にまとめられ地味な表紙になっていますが、内容は同じなので、購入するならこちらをおすすめします。
綺麗な表紙と丈夫さを求められるなら、図書館向けの本の方がいいですが…。
目次は次のようになっています。
心に響く!感動する!大人の癒しにも!
導入部分の漫画は柔らかく心安らぐ雰囲気
各章の導入部分に漫画が使われていて、そのイラストがすごく優しい雰囲気。
安心して子供に渡せる漫画です。
暗い内容もそれほど重くなりすぎず、衝撃的なイラストもありません。穏やかに時がすぎていきます。
ストーリーが泣ける!
各章にある漫画は一つの大きなストーリーになっています。ちょっと壁にぶつかった中学生の男の子と、その子を優しく導く家族のお話なんですが…
東京で暮らしていたハヤトは中学受験を経験する。無事合格したものの、周囲の秀才たちに劣等感を感じて不登校になってしまった。ハヤトを心配した両親は母親の実家のある広島に引っ越すことを決断。ハヤトは市内の公立中学校に転校する。
新しい環境にも慣れてきたころ、学校では職場体験の準備が進んでいた。将来への不安を日々漠然と感じていたハヤトは、ふと「働くことの意味」「就きたい仕事」について思いをはせる。
同居する叔母・優は、そんなハヤトにある本の一部を手渡す。そこにはハヤトがまさに悩んでいた「働くとはどういうことか」が書かれていたのであった。お金、働き方、仕事の見つけ方、幸せ、新しい時代、勉強……。本を通してさまざまなテーマ、さまざまな考え方を知るうちに、ハヤトは自分自身を見つめ、精神的に大きく成長していく。
なぜ優はハヤトに本を読ませたのか? 最後、驚きの展開とともに、真相が明らかになる。
(公式『なぜ僕らは働くのか』特設サイトより引用)
このストーリーがまた、いいんです!叔母や祖母の暖かい愛情にも包まれて、主人公はドンドン成長していきます。子を持つ大人が読むと、最後、泣けてきますよ!
特に下巻の表紙のイラストは、子どものこれからの人生を表しているようで、すご~く好きです。
生活に関わるお金の基本が書いている
お給料は「ありがとう」を形にしたもの
子どもが夫に、「お仕事をしてもらうお金は何か知っている?」「ありがとうの代わりなんだよ」と言い出した時、「幼稚園くらいの時にママが言っていたことだよね~!覚えていてくれて嬉しいわ~」と言ったら困った顔をしていたので、≪うん?違うのかな?じゃあ、どこで?≫と思っていたら…
この本に書いていました。
お金や仕事に対する考え方が私と同じで、嬉しかったです。子どもにとっても、小さな子の場合、親の考え方と本の考え方が一致している方が混乱しなくていいですよね。
生きていくうえで必要なお金は?
ネット上では、一か月に必要な生活費が27万円と書かれている部分に対して批判があつまったようですが、
本文を読んでいくと、<多いと感じる人も少ないと感じる人もいる。人によって違う>という内容がきちんと書いていました。あくまで一例ですね。
人によって何を節約して、何にお金を注ぎ込むのかは違うということも書かれていました。住まいにお金をかける人もいれば、教育に多くのお金をかける人もいる。またファッションを重視する人もいますよね。できるだけたくさん海外旅行をしたいから、住まいにお金をかけないという人もいます。人それぞれで、お互いを批判するべきではないですよね。
また、これから先、生きていくのにどれだけお金がかかるのかということも、簡単に書かれていました。
こんなに教育費がかかるってわかってもらえたかな?と息子の後ろから盗み見していました。
そういえば、先日、次の記事を書いた後、毎月かかっている今現在の教育費の内訳を紙に書いて張り出し「これだけかかっているんだから、自覚もって頑張るのよ~」といらない一言を言ってしまいました。
生活と仕事は密着している
生活と仕事は深くかかわっていることも書かれていました。
大人になると、小学生や中学生のように「みんな同じ生活スタイル」というわけではないですよね。職業によって生活スタイルが違っていたりします。
「クオリティ・オブ・ライフ」という考え方、自分らしく幸せを感じられる生活が大事だとも書かれていました。人によって幸せと感じる生活スタイルは様々ですよね。
人はいろんなライフイベントに合わせて、自分に合った働き方を考えていく必要があるとも書かれていました。
子育てや、入院、介護…いろんなことがありますね。
将来就きたい仕事探しについて
好きからの仕事探し
将来就きたい仕事を、好きから探すヒントも書かれていました。
例えば、料理が好きな子の場合、単に「料理が好きだからコックさんになりたい」ではなく、なぜ料理が、好きなのか深く考えそこから企業での商品開発などいろんな職業を検討するという話が書かれていました。
大人になって仕事を始めてからも夢は見つかる!成長できる!
しっかり【やりたいことが変わることもよくあるし、早いうちからやりたいことがあるからすごい、やりたいことが見つかっていないとダメ、というわけではない】ということも書いてあります。
「仕事を始めてからも夢は見つかる」「何歳になっても成長するものです」という文は、迷いぬいているお子さんにとって心強い一言だと思います。また、人生を迷いながら歩んできた大人にとっても心に響くメッセージではないでしょうか。実際、定年後に始めて目覚ましい活躍をされている方もいらっしゃいます。
将棋士のように年齢制限がある職業もあるので少し注意が必要ですが…
※追記です。中学生の時に奨励会に不合格でも、プロ入りされた方が出てきました。
いくつになってもやり直しができると希望を与えてくれるニュースですね!
AIにとられにくい仕事は?
将来、多くの仕事をAIにとられると言われていますが、AIが仕事をすることで生まれる新たな仕事や、AIが不得意な分野についても書かれていました。
芸術系やコミュケーション系は人間の方が強そうですね。
働くことに対しての考え方・価値観
年収が多い方が幸せか?
「【年収が多い=成功=幸せ】ではない」という話も書かれていました。
一昔前は、【年収が多い=成功=幸せ】という価値観の方が多かったですが、今は違いますよね。
年収が2倍に増えても人々の満足感・幸福感はそれほどかわらないという調査結果も載っていました。
どれくらいで満足して、何に幸せを感じるかでかわってくるんでしょうね。
どうしたら仕事がうまくいくか?
どうしたら仕事がうまくいくかという話も書かれていました。
仕事がうまくいく人とそうでない人の例が対比されて書いてあるので、子どもも理解しやすいと思います。【うまくいかなくてもひきずらない・謙虚で感謝を忘れない・できないことは仲間に頼る…】大人の方々は、「わかっているけれど、それがなかなか難しいんだよ~」と思われると思います。
実際に仕事をしていくと、我慢しなければならないことも多いですよね。
その我慢についても、「よい我慢」と「悪い我慢」とに分けて書かれていました。自分の成長につながる我慢は良い我慢。精神的・肉体的につらいだけの我慢は悪い我慢。これからの子どもたちは、ブラック企業につぶされないように気をつけて欲しいものです。
スタンフォード大学のジョン・D.・クランボルツ教授が提唱したキャリア論、プランドハプンスタンス理論(「計画された偶発性」理論)についても触れられていました。仕事で成功した人を調査したところ、その成功は8割が偶然の出来事によるものだったということをきっかけに提唱された理論だそうです。
キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし対応することを積み重ねることで形成されるというもの
(⇒プランドハプンスタンスとは - コトバンクより引用)
予想不可能な未来を生きる子供たちには、これまでのキャリア形成プランでは通用しないと考え、書かれたんだと思います。
この本には大人向けのキャリア本のような難しい理論は書いていませんが、成功している人は「好奇心・冒険心・柔軟性・楽観性・持続性」の5つの力があることが多く、そういった力を磨いておこうという内容がサラッと書いてありました。子どもの頭にも、イラストからスッと入ってくるように工夫されているのがさすがです。
「人生に正解はない、いろいろやってみよう」という言葉も印象に残りました。次のようにまとめられています。
①世の中の仕組みや、どんな仕事があるのかを知る。
②自分がやりたいことや、どう生きたら幸せか考えてみる。
③小さなことからでも行動する。
まずは知ることから。そして、よく考え行動ですね。
上手に生きるためのヒント
仕事に取り組む姿勢
この本には、特に「上手に生きるためのヒント」などという項目はありませんが、読んでいて、全体に「上手に生きるヒント」があちこちに散りばめられている気がしました。例えば、次のようなイラスト。
○ 叱られるからする。
○ 報酬を楽しみにする。
○ みんなが喜ぶ建物の完成図を想像してする。
同じ仕事でも、とらえかたによって、全然違いますね…。とらえ方によって自分の人生が充実していて楽しいものともなるし、つらいものにもなる。それは、子どもの学校の宿題や勉強に対しても同じですね。
勉強の意味
勉強に関しては「学校の勉強」と「自主的にする勉強」に分けて書かれていました。
「親や先生は勉強しろというけれど、学校の勉強なんて意味あるの?」と思っている子も多いと思いますが…「学校での勉強」は、「社会に出る基礎体力」となるもので意味があるものだと語ってくれています。
「自主的にする勉強」は、興味をもったことを深める勉強だけでなく、大人がする勉強も含んで語られていました。大人だって社内の試験や仕事に必要な資格試験などのために仕方なくする勉強もありますが、大人は自分の意志でするものだから、「自主的にする勉強」に入るんでしょうね。
子どもの時に勉強をする方法を身につけたり頑張る経験をしておくと、大人になってからも、いろんな状況で役立ちそうです。
「人の評価は気にしない」「できないことは助け合い」
この本は、学校の勉強は「社会に出る基礎体力」となるので必要としながらも、できない教科があっても、苦手なことがたくさんあっても、生きていくうえでは大きな問題ではないと言い切ってくれています。
これは多くの子どもたちに覚えておいて欲しいなと思いました。
「苦手」は少ない方が楽に生きられそうですが…「できないことは助け合い」でカバーできるんですよね。それに、一人で完結するより、助け合いのある社会の方が暖かくて過ごしやすいです!
悪いところを見つけて自信をなくすより、良いところをみつけてそれを伸ばして自信を持ち、可能性を広げていくことが大事だと書かれています。
今どきの教育本によく書かれているセリフだなぁと思いつつ、本当にそうだなぁと思いました。
公立中学校の内申点制度が早く全国で廃止になったらいいのにと思います。すべての教科、学校生活ぶりでいい評価をもらわないといけないなんて、しんどすぎます!
日本は、「均一のなんでもできる子」を育てようという感じで、飛びぬけた才能を伸ばす感じではなくて、少し残念だなぁと思う時があります。
また、「人の評価は気にしない」ということも書かれていました。
人の評価より、自分の評価ですよね。人と比べるより、以前の自分と比べることが大事。そうしないと、素直に自分の成長を喜べずに伸び悩んでしまいます。
例えば、コンクールなんかも実施される年によってレベルが高かったり、そうでなかったりしますし、特に世界的なトップレベルの方々の演奏は、人の評価もさまざまです。
特別なオーラを放つ子が多い学年もあれば、そうでもない学年もありますし…
この記事を書かれているキャンディ (id:Moms-diary)さんは私立中高一貫校に通っているお子さんが2人いらっしゃる教育に熱心な方で、よく参考にさせていただいています。
ちなみに、住んでいる地域ではうちの子の学年は人数が多い上(他の学年よりクラス数が多いくらい)、人の目をひく子も多いので、同学年間の競争はなかなか激しそうです。
人生には波がある!どれだけ頑張っても、うまくいかないつらい時もある!
人生はいろいろありますよね。100パーセント受かると言われていた学校の入学試験にも落ちたり、いくら頑張っても部活でレギュラーになれなかったり…。いくら人の評価は気にしないと決めていても、落ち込むこともあると思います。
そんなときのことも書かれていました。
つらい時に効く薬は「時間」と「人のやさしさ」だと書いています。
「つらい時はつらいと言おう」という言葉が少し心にひっかかりました。
一人育児でつらいと声をあげても誰も助けてくれなかった経験をされた方もいらっしゃいますし、私も子どもの保育園時代、何を言っても悪いように受け取られて、夫にもわかってもらえず、少しつらかった経験があります。(そのおかげで「はてなブログ」に出会えましたが)
八方ふさがりの時って、そんなことの繰り返しで「もう何を言っても仕方がない…」と打ちひしがれる精神状態になりがちです。
大人でも「つらい」と声をあげずらいのに、子どもはもっと難しいでしょう。
この本に書かれている家族は、中学生の主人公が不登校になった時、責めずに見守り、子どものつらい原因を取り除き、時間をかけてやさしくゆっくり導いています。
現実はこんなにうまくいかないんでしょうが、私もこの『僕たちはなぜ働くのか』の家族のように子どもの様子をよく観察してつらい気持ちを察し、やさしく導ける親になりたいです。
基本的な考え方は同じでしたが、この本をきっかけにより考えを深めることができ、私は読んで良かったです。
長々と書きましたが、私が特に興味を持った部分だけを取り上げて書いているので、人によっては他の部分が役に立つかもしれません。
ご興味のある方はぜひ一度読んでみてください。
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