ウクライナのニュースから
小学生が飛びついて読んだ『こども地政学』を思い出す
今、ウクライナが大変なことになっています。
このまま長引けば、誰かが判断を間違えば、私たちの生活も脅かされ、第三次世界大戦、核戦争になりかねません。
このニュースをきっかけに、少し前に子どもが、目をキラキラさせて読んでいた『こども地政学』を思い出しました。
子どもの、知らなかった世界を知ることができる喜びにあふれた状態の集中力はすごいですね。図書館でかりた本でしたが、あっという間に読んで何度も読み直していました。
うちの子は小3で、まだ小学校の社会では日本のことしか学ばない年齢ですが、とても興味を持って読んでくれました。
『こども地政学』を読めば世界情勢がざっくりわかる
地政学とは
政治を深いところで理解する
地政学ってあまり聞いたことないですよね。
地理学と政治学が合わさったようなのものですが、『こども地政学』の「はじめに」の部分には次のように書かれています。
地政学は地理、歴史、資源、人口、それから宗教、民族、人種などが国々の関係にどのような影響をおよぼすのか、それが平和と安定をどのように脅かすのか、といったことを分析し、ともに生きる知恵を学ぶ営みです。地政学の「政」は政治の「政」です。パワーです。地政学を学ぶということは、政治を深いところで理解するということにほかなりません。
(こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本 - 株式会社カンゼンより引用)
地理、歴史、資源などいろんな面からから政治を深いところで理解し、世界情勢、世界の力関係を知るということでしょう。
不安定な力関係、危うい時代
さらに、「はじめに」の部分は、次のようにも書かれていました。
世界の平和を維持するには、秩序(の正当性)とパワー(のバランス)の双方が必要です。
それを実現するには、リーダーシップと大国間の協調が求められます。国際秩序が崩れるとき、ルールもないがしろにされ、平和が脅かされます。いまがまさにそうした危うい時代です。平和の理想と闘争の現実は対立する概念ではありません。
それを同時に追求する以外、安定はありません。そのためにも、地政学と地経学の洞察から学ぶことは多いと私は信じています。
【監修者執筆・本書はじめにより】
(こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本 - 株式会社カンゼンより引用)
2021年3月15日に出版された本ですが、「危うい時代」とはよく言ったものですね。
今まさにオリンピック期間中は、戦争をしないというルールもないがしろにされ、平和が脅かされています。
地経学とは
先ほど引用した「はじめに」の部分に「地政学と地経学の洞察から学ぶことは多い」と書かれていたように、『こども地政学』は『地経学』についても書かれていますが、『地経学』とは何かご存知ですか。
この本には、「国家が地政学的な目的のために、経済を手段として使うこと」と書かれていました。
具体的には、バランス・オブ・パワー(勢力均衡)を保ったり、経済を核兵器のように抑止力にするなどのことです。
経済による抑止力は
今、本に書かれていた「経済を核兵器のように抑止力にする」というわかりやすい例がニュースで流れています。
国際社会がロシアをSWIFT(スイフト。世界各国の銀行・金融機関を結ぶネットワーク)から排除したことに対して、ロシアは核兵器をちらつかせるなど、まさに、この本で学んだことが現実に起きています!
子どももニュース・世界情勢の理解が早い
ニュースがわかり興味を持つ
ここ数日、息子は毎朝テレビにかじりついてニュースを見ていましたが、【ウクライナが北NATO(大西洋条約機構)やEU(欧州連合)に加盟を希望し、アメリカよりになったことにロシアのトップが激怒したのは、なぜか】ということは、わかったようです。(もちろん、どんな理由であろうと戦争反対派ですが)
詳しいニュース解説を聞いたからというのもありますが、もともと『こども地政学』を読んでいたから理解が早かったんだと思います。
『こども地政学』は世界の力関係・世界情勢をざっくり理解するのには適していると思います。
子ども向けニュースサイト・解説動画
今回、うちの子はテレビニュースばかりでしたが、だんだん戦争の悲惨な映像も流れてくるようになってきましたし…もし、小さなお子さんにニュースサイトを見せたいという方は次のサイトがおすすめです。
⇒NEWS WEB EASY|「ロシアがウクライナに攻撃を始めた」
「NEWS WEB EASY」は、やさしい日本語にした外国人~小学生・中学生向けニュースサイトで、フリガナ付き。小さなお子さんも読みやすいと思います。
※「NEWS WEB EASY」は幼児さんでも読めますが、記事によっては戦地の刺激的な動画もついているのでご注意ください。
これだけでは背景がわかりにくいですし、一歩踏み込んだことが知りたければ、次のニュースを…
今回の対立の発端まで書いています。
小学生向けに詳しく動画で解説してくれているのは浜学園(関西で有名な中学受験塾)の「かれとぴ!」です。朝日小学生新聞の記事を浜学園の講師が解説するしてくれていて、今回のウクライナの件も解説されてました。
朝日小学生新聞と浜学園がリリースしている、同学園の生徒限定に配信していたニュース解説動画「かれとぴ!」を朝学マイページご利用者向けに配信を開始。4300名以上の生徒が視聴しています。
朝小の記事をもとに、小学生に知ってほしいニュース解説動画を原則毎週1回配信しています。月額定額課金制で、過去の解説動画もご覧いただけます。
(かれとぴ!より引用)
※「月額定額課金制で、過去の解説動画もご覧いただけます。」⇒月額330円
次は、ウクライナとロシアの話は置いておいて、この本はどんな本なのか、詳しく書いていきたいと思います。
『こども地政学』はどんな本なのか?
中身もカラーイラスト・フリガナ付きで読みやすい!
フリガナ付きなので、漢字を学んでいない小さな子も読めますし、中のどのテーマもカラーでイラスト付き。
子どもが手に取って読みやすくなっています。
アマゾンのサイトには試し読みもありますし、商品紹介欄も画像付きでかなり詳しく書かれています。よろしければ、一度ご覧ください。
自分で考え調べる力を身につける工夫がある
テーマごとに「考えてみよう」コーナーが最後にあります。テーマに関連した問題が出され、自分から考えて調べたくなるようになっています。
「日本が武器にできる『ルール』はあるだろうか?」という問題に、私も「う~ん」と唸ってしまいました。
私たちの時代の日本はこんな状態ですが…子供たちには頑張って欲しいですね。
すべてのテーマについて話し合ったわけではありませんが、「学校給食でこんなものが出たよ!」というような日常からかけ離れた、いろんなテーマについて親子で話し合うことができました。
世界を見る教養が身につく
小学生だってイマドキの子は地図帳、世界地図を持っていますし、世界の特色などの学びはできますよね。
でも、それだけ。
この本は、地図帳などに載っていない、世界の力関係を知ることができます。
楽天の商品紹介の部分に次のように書かれていましたが、本当にそうですね。
「地政学」を理解することは、政治、経済の未来を読む力はもちろんのこと、今後何を学ぶのか、どこに投資するのか、どこに移住するのかなど、知識としてだけではなく、生きていくうえでさまざまな点に役立てることができます。
早いうちにから世界情勢を理解していくと、今後、子ども自身もこれから自分は何を優先して学ぶべきか、見えてくるかもしれません。
親任せにしないで、自分で選び取っていって欲しいですね!
『こども地政学』の目次・それぞれの内容
出版社のサイトに詳しい目次が載っていたので、引用させていただきます。
はじめに 地政学とは、国々がともに生きる知恵を学ぶこと。
第1章 私たち日本世界の関係を見てみよう
日本がどこにあるのか世界地図を眺めてみよう
日本の地理的な特徴を考えてみよう
…など第2章 ところで「地政学」ってどんな学問なの?
「みんな仲良く」が理想だけど、現実は難しい
なんで地政学では「地理」が重要なのだろう…?など第3章 地政学で絶対に知っておくべきキーワード
「ランドパワー」と「シーパワー」ってなんだ?
「ハートランド」と「リムランド」ってなんだ?
「バランス・オブ・パワー」がないと戦争が起こる …など第4章 日本の地政学的リスクに見ていこう
どうして海上自衛隊は遠く離れた中東に行くの?
北朝鮮のミサイルは発射後7分で日本に着弾する…など第5章 2つの超大国アメリカと中国の関係を知ることが大事
中国が「超大国」と呼ばれるようになったワケ
アメリカと中国が仲が悪くなっているワケ…など第6章 歴史を振り返ると地政学がよくわかる
ランドパワーとシーパワーは交互に力をもってきた
日本でもランドパワーとシーパワーが戦ってきた…など第7章 未来の日本について考えてみよう
軍隊をもたない日本は攻められても大丈夫なの?
「サイバーパワー」をめぐる争いが新たな主戦場に…など各章ごとに用意されたコラムでは歴史に名を残す「地政学の重要人物」を紹介!
(こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本 - 株式会社カンゼンより引用)
目次を見るだけでも、いろんな言葉が出てくるのがわかると思います。「バランス・オブ・パワー」くらいなら知っていますが、「『リムランド』って何?」となりませんか。
大人も学びになる
ランドパワー・リムランド・チョークポイント…知らない言葉がたくさん!
最初、子どもが一通り読んで得意げに解説しに来てくれたのですが、ランドパワー・リムランド・チョークポイント…知らない言葉がたくさんあって驚きました!
この本に使われている「知らなかった!」と思った言葉の一部をあげておきます。
「ランドパワー」
大陸国家のことで、ユーラシア大陸にいる中国やロシアといったの勢力のこと。
「シーパワー」
海洋国家のことで、島国である日本、イギリスだけでなく、アメリカも含まれる。
「ハートランド」
ユーラシア大陸の内陸部の心臓部分のこと。
(「地政学」の開祖と呼ばれるイギリスの地理学者、政治家マッキンダーは1900年代初頭の世界地図をユーラシア内陸部を中軸地帯(ハートランド)・内側の三日月地帯・外側の三日月地帯 に分け、「東ヨーロッパを支配するものがハートランドを支配し、ハートランドを支配するものが世界島を支配し、世界島を支配するものが世界を支配する」と説き反響を呼んだそうです。)
「リムランド」
オランダ系アメリカ人の政治学者・地政学者ニコラス・スパイクマンによる造語。マッキンダーの主張した内側の三日月地帯を指していて、ハートランドを覆うように形成している。
(スパイクマンは「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界の命運を制する。」と述べたそうです。)
「チョークポイント」
戦略的に重要な海上水路のこと。
※今、本が手元にないので、言葉の解説部分はウィキペディアを参考に書いています。本に書いている子供向けの解説ではありません。
どれも「地政学」では基本的な用語らしいのですが、私にとっては≪ハートランドって、ハートの形のランド?≫といった感じでさっぱりわかっていませんでした。
最初はこの本にノータッチでしたが、子どもがいろんな話をするので、私も興味が湧いてきて一通り読み、親子でこの本の内容について話し合うようになりました。
米中の覇権争いの話で、中国が「5G」で国際基準を握ろうとしていることに関連して、「中国製造2025」という目標の重点10分野のことまで載っていましたし、
⇒中国製造2025とは 重点10分野と23品目に力: 日本経済新聞
タイトルに「こども」とつく本なのに、予想以上に詳しく書いていて、私も勉強になりました!
「日本は平和で安心」ではないことに気付く
北朝鮮のミサイルについても書かれていました。
7分後には日本に着弾するとか、本州を越えて太平洋側の海に落ちているとか…ニュースになっていたんでしょうけれど、
あまりにも北朝鮮から日本の海域にミサイルを発射される回数が多くて、≪どうせまた海に落ちたんでしょ、日本の本土に届いていないでしょう≫という感覚になっていました。
充分に、自分たちが住んでいる民家に着弾する可能性がありますよね。
この本のおかげで、私たちが普段思っている以上に危険な状況だとあらためて認識することができました。「日本は平和で安心」ではなかったと。
ロシア・韓国との領土問題も抱えています。
どの国でも言えることですが、国のトップが理性を失ったら、いつ矛先がこちらに向くとも限りません。
カンゼンのこどもシリーズ
カンゼンという出版社さんをあまり知らなかったのですが、「こどもシリーズ」として『こども地政学』を含め2022/3/2時点で8冊出ているようです。
(※出版年月日2022/03/22)
「SDGs」は小学校の朝の集会でも触れられていて、うちの子はいろんな本や学習動画である程度知っているので、次は『こども統計学』がいいなぁと思っています。
うちの子は、日本の政治の仕組みは次の本で読んだことがありますが、
世界各国の政治の仕組み、国際政治学(国際社会における国の政策決定、安全保障、戦争と平和などの政治を検討する学問)は学んだことがありません。
だから、そういった関係の思いっきり「子ども向け」のやさしい本があれば、また渡してあげたいと思っています。
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ロシアがウクライナに侵攻した関連のニュースで、日本からも志願兵に応募された方が多数いらっしゃったとか、多額の寄付金を出されたとか、いろいろ聞きますが、私にできることは祈ることくらいしかなくて無力さを感じます。
早く戦争が終結して、平和なウクライナになりますように!
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