夫婦別姓問題について
子育て世代向け雑誌モデルが自分の姓を名乗りたいために離婚
ちょっと驚いたニュースがありました。有名なモデルが「夫婦別姓にしたい」からと離婚されるそうです。
子育て世代向けの女性誌「VERY」などで活躍するモデルの牧野紗弥さん(36)は、夫婦別姓に向けた準備を進めていることを誌上で公表し、反響を呼びました。何が3人の子を育てる牧野さんの背中を押したのか、思いを語ってもらいました。
年内をめどに法律婚から事実婚に切り替え、夫婦別姓にする準備を進めています。結婚して11年。夫の姓を名乗ることにずっと違和感がありました。25歳で結婚した時も自分の姓を名乗りたかったけれど、そのための知識も勇気もありませんでした。
(ママは自分の姓で歩む VERYモデルが選んだ「離婚」:朝日新聞デジタルより引用)
《なんでいまさら?結婚する時にちゃんと考えなかったの?》と思いながら読んでいたら、
「25歳で結婚した時も自分の姓を名乗りたかったけれど、そのための知識も勇気もありませんでした。」と書いていたので、
ぜひ、これから結婚する方には知っておいて欲しいと思い立ち、自分の体験を書くことにしました。
結婚する前に勇気を出して話し合いを!
別性で事実婚という選択を提示
若い頃は、いろんな世代の方々と頻繁に食事に行っていろんな話を聞いていたので、結婚生活というものに対してネガティブになっていて、そんなに苦労するくらいなら結婚なんてしたくないと思っていました。(ウェディングドレスは着たかったです!)
そのため、じわじわと「子どもが欲しいならそろそろ…」と結婚を匂わす相手に思い切って「別性で事実婚という方法もあるよね」と言うと、次のような返事が返ってきました。
「家族みんな同じ名前でつながりが欲しい!」に共感
「子どもが欲しいなら法律上婚姻届けがあるきちんとした家庭があった方がいい」
いろんな意見があると思いますが、子どもにとって、それがベストであるのはわかります。
「別性だと家族の気分になれない。みんな同じ名前でつながりが欲しい。子どもが姓の選択に悩む」
会社にも名前があるように、家族の名前が欲しいそうなんです。チーム名みたいなものですね。子どもがどちらの姓を選択するか悩むというのもわかります。
別性反対派の気持ちが理解できました。
「自分の姓にこだわらない」返事で拍子抜け
でも、女性ばかり負担が多い、名前が変わるとアイデンティティーがどうのこうと私が言い出すと、夫はあっさり
「自分が姓を変えてもいい。自分はこだわりないから。同じ名字だったらなんでもいいんだ。結婚する時に新しい名字を自分たちで考えられたいいのにね。」
なんて言い出してくれました。
ごもっとも。《新しい名字を作ったり、まったく他の名字を選べたら楽なのに》と思ってしまいます。それだったら、完全に平等ですよね。
海外では、別性を認める、両方の姓を並べて名乗るなどの他に、まったく無関係の姓を選ぶことができる国もあるようです。
最終的に女性の姓を選択~不安要素はすべて結婚前に確認しておくと後が楽
不安要素はすべて結婚前に確認しておくと後が楽です。
他にも気になることをトコトン話してみると、
「子どもが欲しいから結婚したいわけじゃない。欲しいのは欲しいけど、授かりものだからわからないし。子どもがいなくても一生ずっと一緒にいて家族として戸籍を残したんだ。」
「自分が仕事を辞めて家庭に入ってもいいよ」
不安を解消する発言がどんどん飛んできて、
《本当かな?口先だけではなく、本当にそう思っている?本気で氏を変えてもらってもいい?》と思い出し…
普段は占いに頼らないタイプなんですが、さすがにこの時ばかりは占い師さんのところへ相談に行くと、女性の姓を名乗る方がどちらの運勢も良くなると出て、自分の姓を選んでいただく気持ちが固まりました。
結婚後悩むより、先に確認してどうしても理解が得られないなら結婚しない選択をすること大事だと思います。今は自分の意志で結婚相手も選べるし、しない選択も出来る時代なんですから。
婚姻届けで女性の姓を名乗る選択をしよう
「婿養子」の手続きをとらない方法を選ぶ
一般的に男性が女性の姓を名乗る場合は、女性の家が由緒ある家だとか、資産家であるとか、そういう権力・財力がある場合で、いわゆる「婿養子」(女性側の両親と養子縁組をする)の形態をとられることが多いのですが、私たちの場合はそうではなくて…どちらも普通の家庭ですし、対等な立場であって欲しいだけなので、「婿養子」の手続きはしませんでした。
婚姻届け提出時に女性の氏を選択する
養子縁組のややこしい手続きを踏まなくても、法律上は、婚姻届けを出す時に、簡単に女性側の氏にすることができるんです。
「婚姻後の夫婦の氏」欄の「妻の氏」の方にチェックを入れるだけ。
(・婚姻届(記載例:夫婦で新しい戸籍を作る場合)(PDF形式, 293KB)より)
半数くらい女性の姓を選ぶ時代になれば
婚姻届けの用紙を見てわかるように、日本は文化的には男性の方が上ですが、法律上は男女平等です。
結婚する時に男性の姓を名乗るというのはただの慣習です。
結婚する時にしっかりと女性が声をあげ、いつか半数くらいが女性の姓を名乗るようになればと思います。
戸籍の筆頭者と世帯主は別人でもいい
妻側の氏を名乗ることにした場合、戸籍の筆頭者も妻になります。
戸籍の一番初めに記載されている人です。婚姻する夫婦が夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻が筆頭者となります。筆頭者が亡くなったときなど、その戸籍から除かれた場合でも筆頭者は変わりません。
(戸籍の筆頭者とは何ですか。 江戸川区ホームページより引用)
筆頭者って、なんだかその戸籍の中の「頭」のようで、それを私がとってしまうとなんか感じ悪いですよね。対等な関係でいたいだけで、決して上に立ちたいわけではないんです。だから、世帯主は夫になってもらいました。
世帯主と戸籍の筆頭者は別人でもかまわないんです。
※収入や年齢に関係なく世帯主を決めることができますが、世帯主は勤務先の住宅手当などの支給対象になるので、福利厚生が充実している会社に勤めている方が世帯主になる方がいいそうです。
世帯主には納税や行政手続きなどの義務が生じる一方、勤務先からの住宅手当や家賃補助も世帯主が支給対象になります。そのため、妻が専業主婦だったり休職中だったりして夫の扶養に入っている場合、あるいは妻の収入が夫より少ない場合など、世帯主を夫にするのが一般的です。
(「世帯主=夫」でいいの?結婚するときの【世帯主】の役割と決め方|ゼクシィより引用)
次のサイトにある程度生計を別にしていれば、それぞれが世帯主になることができることも書いています。
このように成人男女は自分たちの意志でどのようにも結婚できますが、両家のご両親に理解を頂くのも大事なので、しっかり話し合う時間を持つことをおすすめします。
家庭内ジェンダー
夫が外で稼いで、妻が家庭を守る?
モデルの牧野紗弥さんは、「夫婦別姓でもっといい家族の形を見つけたい」と次のようにも語られています。
家庭内ジェンダーについて、考えるようになった2020年は私の中の変革期でした。「夫が外で稼いで、妻が家庭を守る」という我が家に残る固定観念と闘い、夫との関係も自分が舵を取り変化させた年。言葉の問題ではありませんが一度意識をすると夫のことを外で「主人」と呼ぶことはなくなりました。
家族における「ママ」という言葉もまた、無意識に役割を与えてしまう呼称なのではと最近思います。「ママ靴取って」「ママ体操服どこだっけ」「ママお水飲みたい」。母としての役割もママである自分も大好きですが「ママ」と呼ばれることでやらなきゃいけないことが当たり前に付いてくるのはおかしいなと。だから家ではパパがママでも子どもたちがママでも次男がママでもいいんだよ、と言っています。
(VERYモデル牧野紗弥さん「夫婦別姓でもっといい家族の形を見つけたい」 | ライフスタイル|VERY[ヴェリィ]公式サイト|光文社より引用)
華やかなモデルの世界の人の口から「夫が外で稼いで、妻が家庭を守る」という言葉が出てくるのに驚きました。
私たち夫婦にはもともとそういう固定観念がありませんでしたし、最近は逆に「妻が外で稼いで、夫が家庭を守る」家庭も少しずつ増えてきています。
少し前、「妻が外で稼いで、夫が家庭を守る」家庭の女の子の作文が選ばれてニュースになりました。
夏綾さんの家庭では、母親の一美さん(44)が都内の職場で働き、父親の亮さん(37)が家事を受け持つ。一美さんの左手が不自由で、家事をこなすのが難しいことがその理由だが、周囲からは奇異の目で見られることも。昼間に公園で父子で遊んでいると、誘拐犯と間違えられて警察に通報されるなど、いつも笑顔の亮さんが落ち込むこともある。
夏休みの宿題で作文に取り組んだ夏綾さんは、そんな家族の様子を描きながら、父と母、そして母親の不自由な左手への感謝の気持ちをつづった。
(動かないお母さんの左手、大すき 小3娘がつづった感謝:朝日新聞デジタルより引用)
「夫が外で稼いで、妻が家庭を守る」
「妻が外で稼いで、夫が家庭を守る」
「妻と夫2人とも外で働いて、2人とも家庭を守る」
どれでも、2人が話し合って、納得していればいいのではないでしょうか。
それにしても、家庭を守るって具体的になんでしょうね。
家事代行サービス、ベビーシッター、家庭教師、介護など金額換算できそうな目に見える仕事だけでなく、
その他「見えない家事」と言われている家庭で発生する雑用を全部ひっくるめて引き受けることでしょうか。
「主人・嫁・ママ」と呼ばない方がいい?
モデルの牧野さんは「主人」「ママ」という言葉にこだわっていらっしゃるようでしたが、私も結婚前後は「主人」という言葉や「嫁」という言葉に対して敏感でした。
でも、自分の姓を名乗ってくれたという事実から、対等に大事に思ってくれていることに対して感謝が芽生え、今では特に「主人」という言葉や「嫁」という言葉に対して過剰に反応することなく、ただの名称と捉えることができるようになりました。
本当に言葉の持つ歴史とか、語源とか、別にどうでもよくなったんです。
それでも、夫はずっと「嫁」という言葉を使わずに「妻」というようにしてくれています。夫の友だちは全員、自分の配偶者のことを「うちの嫁」と言います。
差別用語は傷つく人がいるから言ってはいけないのはわかりますが、嫁や主人はいいんじゃないでしょうか。
フォーマルな場で、親しくない方に丁寧にその人の配偶者のことを言いたい時はどんな言葉を使いますか?「●●さんの夫は…」ですか?「●●さんのご主人は…」ですよね。
言い出したらキリがないというか…そのうち「ママや母、妻、また夫やパパ、父という言葉も使ってはいけない、名前で呼んで」になりそうです。
この話で新川和江さんの「私を束ねないで」という詩を思い出しました。
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
学校の教科書(中学だったかな?)にも出てくるのでご存知の方も多いと思いますが、要するに、役割を押し付けないで欲しいだけなんです。
牧野さんもこのことを「『ママ』と呼ばれることでやらなきゃいけないことが当たり前に付いてくる」と表現されています。
難しいことですが、言葉や形式にとらわれず、大切な人にしっかり自分の気持ちを伝え、理解を求めることが大事だと思います。
牧野さんの場合は恐らく、理解を求めてみたけれど理解が得られず、理解が得られない相手の意識改革を図るには形から…で離婚・別性を選ばれたんだと思いますが。
家庭内ジェンダーチェック
近頃、年賀状の時期になると、毎年必ず知人友人の離婚話を聞きます。
「離婚できて良かったね」と思えるようなはっきりした理由がある人もいれば、そうでない人もいて、いろいろで…
今回の牧野さんのインタビュー記事を読んで、
牧野さんのように子育て中に違和感を感じ、1人で悩み苦しんで離婚を考える方も増えているのかもしれないなと思いました。
みなさんのご家庭はどうしょうか。
家庭内ジェンダーという言葉を検索すると次のサイトが出てきました。
簡単な10個の質問に答えると、判定が出ます。
すぐに済むので、よろしればご家族みんなでお試しください!
ご家族の間で意識のズレがあれば、少し話し合ってみられてはどうでしょうか。
他にも「恋愛・結婚編」「職場編」「学校教育編」「地域生活編」があります。
おひとりで暮らしていらっしゃる方もどうぞ。
今回も長々とすみません。次は簡単に我が家の節分の話にします!
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