近所の認可保育所は、教育に力を入れているという評判でとても人気があります。
その保育所の子たちは毎日近くの公園へお散歩に行きます。
だから、よく見かけるのですが…
ある日のこと。
どこにでも、先生の言うことをきかない子どもがいるものです。
他の子はみんな手をつないで列を作って歩いていますが、ひとりだけ、手をつながず、列の後ろの方をトボトボ。
その子を見て、保育士さんは(はやくこないとおいていっちゃうよというニュアンスで)「バイバーイ」
その子はそれを聞いてニヤリ。
若い保育士さんはその子供の様子を見て、サッと顔色をかえ、追い詰められた口調で「もう!!早く手をつないでー!」と叫ぶように言いました。
その子は仕方ないなぁという様子で走って追いつきました。
小学校入学前くらいの大きな子どもだったから、いろんなことがわかるようになってきて、「置いていっちゃうよー」と言われても、本当に置いていけないことくらいわかっているし、いわゆる子どもの扱いに慣れてしまっているようで…まわりの大人は大変だろうなぁと思ってしまいました。
それはそれとして、保育士さんの対応。
保育士さんと言えば、保育のプロ。その人ですら、ニュースやネットで話題になった「置いて行っちゃうよ」の手法を使っているし、感情的に叱りつけている。よく保護者は冷静に、言い聞かせてやらないといけないというしつけの話を聞くけれど、保育のプロですら、ものすごい感情的に叱りつけている様子を見て、なんかもしかして違うかもと思い始めました。
別の日。
まだ、小さくてちゃんと歩けず、一生懸命歩いているのに、何もないところでこけてしまった子がいました。
「もうー!はやくおきて!!」
と、こちらも感情的にひきずりおこされ、そのまま歩かされていました。
これは、見ていて本当にまだ小さいのにかわいそうに、親だったらきっと「大丈夫?」と優しく起こしてあげて、「泣かなかったね、えらいね」と言ってくれるのにと思いましたが、感情的に怒って必死で子どもたちを連れて行く姿を見て、ああ、自然なことなんだと気付きました。
子どもは保育士さんにとって、困ることをした。だから、保育士さんは子どもに怒りの感情をぶつけた。
人は、わざとじゃなくても、自分にとって困ることをされたら、そうした相手に腹を立て、怒りの感情をぶつけます。
子どもたちは、そんな自然な人間のやりとりを学習しているんだと気付きました。
相手が困ることはしない。
相手が困ることをしてしまったら怒られる。
こんな基本的なことを学んでいないと、相手が困ることをしてしまったり、怒られてもなんで怒られているのかわからない。怖いという印象しかもてない人間に成長してしまうかもしれない。
もちろん、暴力や強烈な脅しは避けるべきですが、きちんと気持ちを込めて、叱る、怒ることも大切なんじゃないかなと思いはじめたところです。
まったく感情的に怒られたことがないまま、成長したら…それはそれで心配かもしれません。