今回とりあげる『魔法のピアノレッスン』は、子どもにピアノを習わせている保護者・ピアノ指導者向けに書かれたピアノの指導法の本ですが、一般の保護者の方にとっても子どもを指導する上で参考になる考え方が書かれていました。
『やる気を引き出す魔法のピアノレッスン』感想
最初、この表紙に戸惑いました。
キラキラの表紙すぎて、ゴージャスな方が読まれる本なのかなと。
目次だって結婚式のメニュー表みたい!
コンクールで争われるくらいのピアノの世界ってこんな感じなんでしょうかね。
気を取り直して読み進めていくと、共感できる筆者の指導姿勢が書かれていました。
子どもを指導する上で参考になる考え方
最初の方に子どもを指導する上で参考になる考え方が書かれていて、惹き込まれるように読みました。
心に残っている部分をピックアップして書いていきます。
筆者のピアノ指導の目的は2つ
①音楽が好きな人間を育てること
②自立した人間を育てること
子どもが興味を持つものであればなんでも習わせてみるとよい。
好きなことに熱中しているうちに、集中力、根気強さ、継続力、努力する姿勢が養われる。熱中して何かに取り組んだ経験は、勉強や仕事に活かされる。
天才はうまれつきのものではなく、自分の努力で作り上げるもの。
ピアノ教育は「努力する人間をつくりあげる」ことができる。
脳科学者の澤口俊之教授は、両手で違う指の動きをすること、先を読むこと、暗記をすることなどが自然に組み合わさっているピアノが、子どもの学習意欲を高め、自己コントロール能力が高く「キレにくい」子どもを育てる上で一番良いと提唱している。
ピアノは幸せのためにある。
幸せと何か。幸せはどのような苦難にあってもそれを乗り越えられる心にこそ、幸せがある。困難に負けない心を育てるにはピアノが最適。
ただ楽譜通りに指を動かせばよいというものではなく、作曲家の感動を読み解き、聴く人に伝えなければならない。
「どうせこの程度しかできない」と思い込まなことが大事。
比べる相手は他人ではなく昨日の自分。
ほめて伸ばす。(ほめ言葉リストがありました)
良いところを伸ばす。
難易度の低い改善点から取り組み褒めて、だんだん難しい改善点に取り組みやすくする。
小さな目標を設定し、出来たら必ず褒め、成功体験を繰り返すこと。
家庭での練習風景をビデオで撮影してもらうと、保護者は子どもにひどい言葉で叱っていることに気付く。
「前向き・肯定的な言葉をかけ、水を氷結させると綺麗な六角形の結晶ができるが、反対に、消極的・否定的な言葉をかけた水は形が崩れていた」という話もある。
否定的な言葉を肯定的な言葉に直して指導しよう。
例
難しい→やりがいがある
できない→できる
(水の結晶の話を例に出し、肯定的な言葉を使っていこうという話は以前、通っていた児童英語インストラクター養成講座の先生もおっしゃっていました。最初、聞いた時はどこかの新興宗教に入っていらっしゃるのかと思ってしまいましたが、そういう指導の流行りがあったのかもしれません。結晶の話はおいておくとしても、言霊という言葉が昔からありますし、積極的に良い表現を使っていくことには賛成です。)
子どもを育てる上で、なんとなくぼんやり思っていたことをスパーンと書かれていたので、気持ちがすっきりしました。
ただし、筆者はコンクールに出場する方がよいという考えの方ですが、私は今のところ子どもをコンクールに出そうとは思っていません。(習っているピアノの先生がコンクール推奨派ではないし、子ども本人も出たくないと言っているため。)
また、ほめる教育というと誤解されやすいので書いておきますが、私は叱ることも大事だと考えています。
次のふたつの記事を読んでいただければわかると思います。
日常はほめ言葉で溢れているくらいたくさんほめて、本当に必要な時はしっかり叱るのがいいと思っています。それは子どものためだけじゃなくて、自分のためでもあります。叱る方がエネルギーを使うんです。褒める方が楽。毎日、叱り続けていたらクタクタになりませんか?だから、思いっきり基準を下げて褒めるようにしてきました。
技術的なことは図解入り
手の形を直す方法のところは、指をテープで巻いたり紐で吊るしたり、ちょっとやりすぎなんじゃないかなと思ってしまいましたが、どれもイラスト入りでわかりやすかったです。
手前で弾く方が良い音がでるという話です。テープを置くことはしませんが、子どもにこの絵を見せると、手前を意識して弾いていました。
どの指も一定の強さで押すことができるようにという部分。
はかりを使うそうです。
欲しい音のイメージと、イメージをさらに膨らませる言葉が一覧表になってありました。
子どももこんな風に具体的に言われる方がわかりやすいと思います。
他にも技術的なことがたくさん書かれていました。ご興味のある方は一度ご覧になってください。
ランランの演奏を目指す
ピアニストのことはよくわかりませんが、私は、牛田智大さん、辻井伸行さんの演奏よりランランさんの演奏の方が好きです。
何で好きかと言うと、いつもイキイキしていて、楽しそうに弾いているから。
余裕が感じられ、聴いている方も楽しくなってきます。
休校中、YouTubeでランランさんの動画集のようなものを流しっぱなしにしていたら、子どもが「またランラン祭りだ~」と喜んで、止まると「いいよ~ランラン祭りにして~」と言うようになりました。トリルの演出で客席を沸かすところがお気に入りで、そこになると見に来ます。
ランランさんの経歴が気になって調べてみたら、子どもの頃は父親のスパルタ教育で毎日8時間以上練習し、コンクールで賞が取れる弾き方をしていたけれど、フィラデルフィアのカーティス音楽院でゲイリー・グラフマンに師事し、楽譜の枠にとどまらず、観客が喜ぶ感情豊かな弾き方を学んだらしいということがわかりました。
やっぱり、その分野で突出している人は、物心つく前からものすごい努力をしているんですね!
うちの子はもう小1だし、特に幼児期も
この記事に書いた子どものような才覚を出していたわけではないし、雲の上の存在ですが、いつかこんな風にどんな曲も楽に楽しく弾き、まわりを喜ばせ感動させることが出来たらいいなと思い、ちょっと家庭で『魔法のピアノレッスン』に書かれているピアノ練習をしてみたいと思っています。
ピアノの弾き方について、基本的に本に書いてることを実践していきたいとは思っていますが、ピアノの弾き方も時代によって、指導者によって、よいとされるものがかわります。
ある動画で、ランランさんが「普通、ピアノは指を立てて弾きますが、ウラディーミル・ホロヴィッツ先生(ランランさんの先生の先生のような人)は、良いか悪いかは別として、指をまっすぐにして弾きます。その方がダイレクトに鍵盤に伝わり、より感情の表現ができます」というような内容を言っていたのを聞いたことがあります。
誰もが思っている「指を立てて弾く」弾き方さえ、人によっては不要で、しかも有名なピアニスト。
本当に何がダメで何がいいのか、わからない世界です。
無理に「この弾き方が正しいんだから、正しい弾き方になおしなさい」なんてことは言わずに、「こうしたら良いと書いてあるからやってみる?」くらいにして、
「ギリギリ精一杯頑張って悪いところを直した」弾き方じゃなく、
ランランさんのように楽しさ溢れるゆとりのある弾き方ができる、本人もまわりも楽しめる人を目指して欲しいなと思っています。
読んだきっかけ
他のピアノ教室の様子を知り、いろんな指導法を知った
習っているピアノ教室が遠いので、他のピアノ教室の見学に行ったことがきっかけで、あちこちのピアノ教室の様子をブログやYouTubeで見るようになりました。
ピアノ教室の見学に行った時のことが書いてある記事です。
あちこち見ていると、だいたい今どきのピアノ教室の指導傾向がわかり、ピティナのコンクールに多くの入賞者を送り込んでいるピアノ教室や先生、指導法もわかってきました。
※ピティナのページを見るだけでも勉強になります。
調べていくとなんとなく『やる気を引き出す魔法のピアノレッスン』が気になり、試しに図書館でかりることにしました。
『やる気を引き出す魔法のレッスン』は、よく拝見していた虹さんのピアノブログにも書かれていました。虹さんのブログは最初「はてな」にあったんですが、ワードプレスへお引越しされ、訪問するのがまばらになり、久しぶりに見に行こうとするとなくなっていました。www.nijinomama.com、このアドレスを継続されていたと思うのですが…いつも参考にさせていただいていたので残念です。
1年ほど、停滞期があったから
卒園前の11月頃にペダルの曲に到達し、補助ペダルを買おう買おうと思いつつ買わずに来て、
やっと小1のクリスマスプレゼントで購入するまでほぼ1年。
ペダルを踏みながら弾きたくて、ペダルの曲を目標としてきたのに~という不満と、
入学をきっかけにいろんな体験教室に行き、興味が分散してしまったのもあって、停滞期に入っていました。
ピアノの先生は「必ず誰しも一度はそういう時期が訪れるものだ、これを乗り越えなければいけない」とおっしゃっていましたが、息子が自力で乗り越える気配はなく、「朝、課題曲を練習して終わり」(弾かないと前より弾けなくなるので、一回は練習する決まりをつくっていました)が続き、このままでいいのかなと気になっていたんです。
ものすごく夢中だった時期もあったんです。熱が出ても指が動いていました。
せっかく習い続けるなら(やる気はあまり感じられないけれど、ピアノ教室は続けたいというので)、あの時のように楽しく頑張ってほしいなぁと思い、子どもの「やる気を引き出す」という「魔法のピアノレッスン」を図書館で予約することにしました。
予約待ちが長くて実際に手もとに来た時は、すでに補助ペダルを与えたあと。やる気が戻った後だったので、雑務に追われて後回しになり、今頃になりました。
他にも2冊かりていますが、まだ活用できていません。
渡部由記子メソッド1 魔法のピアノレッスン「楽曲指導実践編」~魔法のノートの作り方~
渡部由記子メソッド2 魔法のピアノレッスン「基礎指導編」~もっと効果が上がる! ハノンの使い方~
この2冊は楽譜の書き込みが載っていて、より具体的な内容となっています。3月いっぱいはコロナ騒ぎでピアノも休会していますし、3月後半に取り組んでみたいと思っています。
う~ん、でも出来るかな?💦休校期間に入ってから、常にハイテンションで子どもの相手をしているので、エネルギー切れしそうです。
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